◎第3話「ステアリングを切る量(舵角量)は、どれぐらい?」
※注)この説明は、ミューの高い舗装路面です!共通する部分もありますが未舗装路では必ずしも一致しません。
ステアリングをどのぐらい切ったらいいのか?これは、ある意味ドライバーの当る課題でもあります。
皆さんも経験あるでしょう。この問題について考えるとき、まず大前提として、
「少なく切るほど良い」
ということです。ステアを切る、ということはタイヤがそれだけ横を向きますので、抵抗になります。
ということはそれだけ加速が遅くなるからです。まず、これを念頭において下さい。
理想は、ステアを全く切らずに曲がることです。しかし、そうもいきませんよね。
ステアリングを切って曲がると一口に言っても、大きく3つの役割があります。
1. 初期の舵(ターンイン時)
2. 修正舵(切り足し、カウンターステアなど)
3. 方向維持(舵を一定に保ち、脱出時ステアリングを戻す行為)
まずコーナーに進入する時、向きを変えるためにステアを切り始めますね。
そこからCPに向かっていく瞬間、それが1です。続いて、
そのターンインによって車両が期待していたより曲がらなかったり、曲がりすぎた場合、
ペダル操作と連動して修正蛇をあてることがありますが、それが2です。なにもなければ、
次の3、つまりステアリングを一定の量切った状態で固定し、アクセルにペダル操作が移り、
脱出に向かってまっすぐに戻す、という段階になり立ち上がっていくことになります。
つまり、コーナーごとに1→2→3の順で操作するわけです。
ここからが本題なりますが、まず、ステアリング操作は、「ステアリング操作以外の操作を補助、修正するためのもの」
と考えます。最初に言ったように、なるべく切らないで曲がるのが理想ですから、
その他の操作で、つまりブレーキ、アクセルによって曲げていく、ということですね。
説明の仕方を変えましょう。コーナーリングの順序は、
1. ターンイン
2. CP付近
3. 脱出
と、大きく3つに分けられますが、それを先ほどのステアリング操作に当てはめますと、
<コーナーリング操作順序>
順序 | 段階 | ステアリング | ブレーキ | アクセル |
1 | ターンイン | 初期舵当て | 減速〜前輪荷重乗せ | 全閉 |
2 | CP付近 | 修正舵当て | 前輪荷重乗せ〜操作しない | バランススロットル (パーシャル) |
3 | 脱出 | 方向維持〜脱出 | 操作しない | バランススロットル〜全閉 |
となります。アクセル、ブレーキ、ステアリングの3つの操作は全て連動しており、相関関係にあります。
従って、状況によってはその3つのうちどれが操作の中心になるかは常に変化します。
ステアリング操作で初期舵を与えたら、そこからはペダル操作で荷重変化によって車を曲げていきます。
つまり、曲げる方向のきっかけを与えるのがステアリングということですね。
その後、初期蛇と荷重変化によって曲がった車を、曲がりすぎたらステアリングを進行方向に向け(戻し)、
アクセルオンでその方向に進ませる。曲がらなかったら、切り足しするか、FFだったらアクセルを少し戻したり、
リア駆動だったらアクセルをやや多めに踏んでパワーオーバーを誘発させて曲げるか、という修正操作の段階になるのです。
CP付近では高速コーナーの場合アクセルオンで車両を安定させ、脱出に向けてステアリングは一定。
低速コーナーではまだブレーキングによる荷重変化の途中です。
脱出時は、ステアリングを戻しながら、アンダーステアやオーバーステアが過度に出ないようにアクセルを踏み込んでいって
立ち上がります。
車が限界付近のスピードでコーナーリングしている場合、普段の運転のように車の方向を変えるときにステアリングが
主役にならないのです。限界でコーナーリングする車にとって、ステアリングはあくまでも補助的な役割を果たすだけです。
車が限界速度でコーナーリングするということは、後輪または前輪に滑り(スライド)を発生している状態であって、
それをもって限界、というのですが、その滑りをすばやく感知して、その滑りを調整するためにステアリングを操作する、
とも言えます。
わずかな滑りを調整するには微妙な操舵が必要であり、雑であっては決していけません。
このあたりは結構反射神経の問題でもあって、一概にステア操作だけでは割り切れませんが、努めて切り過ぎ、
少な過ぎのないよう、かつステアリングを切るスピードを適切にすべく心がける必要があります。
正確にステアリング操作ができると、結果コーナーリングスピードを高めることになります。
例えば、100km/hで回れるコーナーがあったとします。そのコーナーは100Rとしましょう。
そのコーナーで、90R分の切り込みをすれば当然車は滑り出しますね。
また、車のリアが滑り出してステアリングで修正するとき、戻しすぎるケースも多く、すると車はいきなり外を向いてしまい、
再び切り込まねばならず、より小さな半径を描くといったことを繰り返すわけで、とても100km/hでは走れなくなります。つまり、同じコーナーでも100km/hで姿勢を乱さずに走行できるのに、
ステアリングワークが悪いと、90km/hでも滑りまくってしまう、ということにもなるのです。
舵角量は、これこそ実際に走行してみないと完全には理解できませんが、普段の走行では、とにかく舵角量をいかに少なくして曲がるかを考えて走行してみることで、自分なりにその感覚がつかめてくると思います。
またそのためには、ブレーキング時(ターンイン時)に積極的に車を滑らせて、荷重変化によってどう車が動くかをどんどん体感することです。車をもっと暴れさせましょう!
そして始めはヘロヘロでも、段々とスムーズになり、気づけば速いコーナーリングが身につくことでしょう。
−次回の内容はブレーキとアクセルの役割についてにしようと思います。更新時期は未定です(笑)内容などにリクエストがあれば、掲示板に、又はメールでお願いします!
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