山本和正パーソナルサイト

◎第4話「筑波マイスターカップ 第2戦」

5月5日には、筑波サーキットにてマイスターカップが開催され、私はこのレースに初出場。 バーキン7でのエントリーとなったのだが、筑波もバーキンでのレースも初めてということで、 どのぐらい行けるのか、全くわからない状態での参加になった。先にも述べたように、このレースに先立ち、鈴鹿で1回、 YZで1回ずつテスト走行を行った。 両方とも車両の不具合から調子の良い走行はできなかった。鈴鹿ではクラッチトラブルが発生、ギアが入らなくなってしまった。クラッチのプレッシャープレートがねじ切れてしまったのだ!こんなトラブルは初めてだった。

YZでは原因不明のガス欠症状とでもいうのか、カブってしまう、というのか、 とにかく吹けなくなるという原因不明のトラブルが発生。
これは結局、あとまで引きずることになってしまったのだが・・・。

こんな調子で迎えたレース当日だった。

YZでのテスト走行の時に出た症状に対して、メンテナンスガレージで対策を行ってきた。 ガス欠症状、ということから燃料ポンプの位置を変更、燃圧を調整した。

祈るような気持ちで朝一番の予選。たった10分しかない。おそらく、7ラップ程度しかできないだろう。 初めてのコースだが、市販の車載映像を毎日寝る前に見て、イメージとリズムを刻み込んできた! だからそれほど心配もしてなく、むしろ楽しみだった。さすがに少し緊張したが、 それよりも例の症状が出ないかどうかが心配だった。

そしてコースイン。思ったよりも狭いコースに、YZのようなミニサーキットのリズムとイメージで走行できるな、と感じた。まず1周目をゆっくりコースを確かめて走行。そして最終コーナーの感触を確かめたあと、アタック開始。

ようし、1コーナー進入だ!ブレーキング、3速!・・・あれ?ヒールアンドトゥでアクセルが吹けない!・・・やはり例の症状が出たか・・・。ここでガックリ。1コーナーは4速で進入、2速まで落とすのだが、アクセルが吹けないためにシフトダウンするとシフトロック状態に陥り、リアが暴れてしまう。そのためステアリングを切りながらのブレーキングが全くできない。

これではまともにアプローチできない。ブレーキが異常に早くせざるを得ず、進入スピードが低く、さらにそのためターンインで向きを変えることができずにかなりアンダーな状態で進入するしかないので、結果まともなタイムが出るはずもない。

・・・そんな調子でインパネにある燃調ダイヤルを濃くしたり、薄くしたりしていろいろやってみたが、症状は大きくかわることはなかった。

結局9ラップしたが、タイムは1分7秒420。同クラスのトップから約6秒落ちという、お話にならないタイムに終わってしまった。

予選終了後メカニックと車両のチェックをしながら話をすると、どうもガス欠症状ではないらしい。どうもうまく火が飛んでないのではないか、ということだった。プラグもカブり気味だしここはプラグを9番から7番、しかもイリジウムに変えてみよう、ということになった。

しかし予選終了後は車両保管となり、車両の移動はできないし、決勝まで走行はできない。テストをすることはできないのである。こうして決勝を迎えることになるのだった。 バーキン7 筑波サーキットピット前にて
※筑波サーキットピット前にて。
これは、おおっ撮影だとりあえずカッコ良く写りたいな〜でもまあオーソドックスなスタイルでここはマシンと 共に低い位置で撮ってもらおうでも背景どんな感じになるんだろ〜と想いを馳せているのだか本人には知る由もない図。

決勝(全15周、13:50〜14:10)

ブリーフィングを終え、いつものように誰よりも一番早く車両に乗り込み、じっとしていた。いよいよ決勝コースイン。予選は21台中17番グリッドであった(クラスではビリ!まあ今日は仕方がない・・・)。筑波はストレートが短いため、2列の通常のグリッドにすると後方の車両はシグナルが見えなくなる。従って3台・2台・3台・・・と交互に並ぶという、風変わりなグリッドであった。

グリッドについて、フォーメーションラップ開始。少しウェービング(左右に振りながらウォームアップ)をしながら、感触を確かめる。そして再びグリッドにつくと、5秒前のボード表示。シグナル赤点灯、青に変わる。その瞬間、待っていたとばかりにクラッチミート。ややホイルスピン気味にいい感じのスタートが切れた。もともとスタートが得意な私だったが、このバーキンは中間トルクが太く、イン側のグリッドからスタートだった私は大内狩り(インインでスタート後差していくことを業界ではこう言うのです!)でスタート後1コーナーまでで3〜4台ぐらい一気にゴボウ抜きできた。(正確に何台抜いたかはよく覚えていない(笑))すると前の車両が急ブレーキ。慌てて私もブレーキし白煙を上げてブレーキロック状態に。集中しているので、ここは人間ABSとなりロックしないようにコントロールした。しかし一瞬、「ああ追突するかも」と思ったが何とか切り抜けた。このような場合、アウト側にも車両がいるためにラインを変更することはできない。

急ブレーキの原因は前方でスピンした車両だった。それを避けていたのだ。うまくこれを切り抜け、インフィールドのヘアピンへ進入。この時点で既に前は少し離れてしまっていた。そのインフィールドのヘアピンで、またしても例のアクセル吹けないよ症状が発症。やはりプラグを変えただけでは駄目だったか・・・と思いながら、ここはもうこのまま何とか乗り方でカバーするしかないと頭を切り替えた。

前はジリジリと離れていく。そして、すぐ後ろには3台がダンゴ状態で私にピッタリとくっついてきている。スタートで抜き去った車両だ。しかしブレーキが詰められない今の状態では、いくらブロックしても抜かれるのは時間の問題だろうな・・・と思っていた。何ラップ目だったか覚えていない。上のクラスの車両にラップされる時、青旗が出ていたので道を譲った。その時ドサクサ紛れに1台が私を抜いていった。そしてさらに何ラップかして、インフィールドのヘアピンからの立ち上がりで、エンジンの吹けない私がダンロップ下のアプローチのためにラインをアウトに振った瞬間にインを差してくる車両が!しかしこれはブロックできない。そのまま抜かれたが、その瞬間!その車両はオーバースピードでスルスルっと流れていき、そのままスピン。さようなら〜。自滅していった。

その後最終コーナーでスピン、またトラブルのためであろう、第1コーナー出口で1台がストップ、というように1台、また1台と倒れていった。そんな中、最終コーナーでスピンオフしてグラベルで止まっているのは1台だけだったはずなのに、何故か2台になっているではないか!しかも土煙がまだあがっており、クラッシュしたてだった。これは後で話を聞いてみると、コースアウトした車両と同じラインでコースアウトして行き、そのままぶつかってしまったのだそうだ。かわいそうなことだ・・・。

その後どうやら車両同士の接触があったようで、1コーナーでカウルの一部が散乱していた。オイルフラッグも掲示されていた。

そうしてほとんど後半は一人旅のまま、14ラップでチェッカー、最終的に総合14位に終わった。

レース中も終始アクセルは吹かず、ヒールアンドトゥでアクセルをあおっても回転数が全くあがらないという現象。これには悩んだ。どうしようもない。これに対応しながら走行するのは至難の業で、ステアリングを少しでも切った状態でシフトダウンすると、シフトロック状態になるためにタイヤが空転し、シフトロックドリフトを誘発させてしまう。そのため1コーナーなどはまっすぐアウト側から進入するしかなく、ベストラインもわかっていてはずさねばならなかった。

結局それを利用してカウンターを当てながら曲がっていくしかなく、「おいおいドリフトの練習走行かい!?」という状態に。しかし足回りもピロリンクを組みシビアな挙動のこのバーキンをそのようにして乗るのはリスクが高く、もちろんタイムは出ない。それを抑えながら極力車を前に進めることを考えて走行したが、最終的に1分6秒前半がベストタイムという、これもまたお話にならないタイムに終わった。

決勝終了後、車両をチェックするとキャッチタンクからオイルも噴出しており、どうやらエンジン自体に何か原因があるようだ。燃圧も高くなりすぎているらしく、燃料タンク内圧が高くなり過ぎてポンプが燃料を押し出すこともできず、ラインがパンパンに膨らんでしまっていた。その高圧に耐え切れず、燃圧レギレーターがつぶれてしまってもいたらしい。チェッカー後、ピットレーンに入ったところでエンジンも止まってしまい、もうかからなかったところからしてもこれは・・・。

まあしかしチェッカーを受けて完走は果たしたし、総合ではこれでもビリじゃなかったし!(クラスではもちろんビリ!)と自分を慰めながら次の走行に集中することにした。非常にフラストレーションの溜まるレースだったが、終わってみればクラッシュもなく、変なモメ事もなく、さわやかに終わったので良かった。

次回に期待する!これしか言いようが無い。


※ホームストレートを駆け抜けるところをグランドスタンド側より。(撮影:おなかん氏)
これは、ピットをちらりと見ながら水温油温のチェックをし「カ〜ッ、遅せえ」と思いながらもいや〜やっぱりレースは楽しいなあと思ってスタンドにかわいい娘いないかな〜としっかりチェックしているけれども見つからないなんつ〜かアホ丸出しの様子。

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©KAZUMASA YAMAMOTO