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◎第9話「筑波サマーフェスティバル 参戦記(レース日)

Vol.2 筑波サマーフェスティバル参戦記 レース日 ツクバGAL

このツクバサマーフェスティバルは、日本クラシックカー協会(JCCA)が主催するレースイベントで、メインレース扱いとなるのが今回出場したクラシックカー60分耐久レースであった。Fレースと呼ばれるクラシックカーの改造クラスのスプリントレースがセットで行われる。その他、今回はゴルフのGTIカップ、ニュービートルカップ、ハチロクチャレンジ、エコカー(電気自動車)2時間耐久レースの各レースと、タイムアタックのみの走行会が各種開催された。

この日関東地区は台風13号が近づいている影響で天候は非常に不安定で、朝から雨が降ったり止んだり。Fレースに参戦するプロジェクトトウカイ社長さんも、スリックタイヤかレインタイヤか、非常に悩ましいところであった。私の参戦するのはPクラスといって、いわゆるN1規定に近いものであり、タイヤはラジアルタイヤを履かねばならないから、タイヤはネオバと決まっていた。 セリカGTV
※今回のマシン、昭和44年式セリカ1600GTV
N1規定に近い当時のレギュレーションをベースにした規定による改造であった。 選択できるダンパーの減衰力が柔らかくロール量が多いことと、アーム類の加工ができないためキャンバーがつけられない のが非常にマシン的につらいところだ。 セリカGTV

クラシックカーのイベントは毎回ピット・パドック共に人が多く集まる。そして観客は雨の影響なのか、満席とはいかなかったが、それなりにグランドスタンド、ヘアピンのスタンド共に埋まっていた。クルマもクラシックなら、ドライバーもクラシックな方が多い(失礼!)!私とおなかん氏は30代に入ったばかり、レイは20代であり、恐らく本レースクラス最年少。どこからどう見ても「若僧チーム」と言った感じであった(笑)。

予選(10:15〜13:30)

予選は午前中で、私がタイムアタックをすることになった。今回、富士のシェイクダウンからマシンチェックも担当してきたことと、筑波でのレース経験が今回の耐久ドライバー3名の中では唯一であったこともあり、マシンのポテンシャルの最大限を出さねばならない、と感じていた。 予選 ※予選開始前、マシンに乗り込む前にカメラ目線をくれる著者。まあなる様に しかならん、と思いつつ、存外リラックスしていた。 午前8時の段階で気温27度、湿度78%。かなり湿度が高い。気温はそれなりだが、前日からの曇天や断続的な雨の影響で路面温度が低く、グリップするかどうか心配だった。何とかドライでコースインできたが、前の走行プログラムでコース上にオイルが出てしまっていることもあり、必ずしもベストな状況ではなかった。内圧はやや高め、冷感2.2でセット、15分の予選を早い段階でタイムを出していこう、ということになった。 予選2
※予選コースイン時間直前、エンジンを回しウォームアップ中。著者はカメラ目線をくれるが、 メンテをしていただいたトウカイ社長さんの視線は水温計、油温計に釘付けだ。

早めにコースインゲートに並び、3台目ぐらいの列に並ぶことができたので、前を気にしてクリアラップを取る努力をしなくて良かった。しかも速い上のクラスのマシンだったからだ。コースインしてすぐに目一杯踏んでいこうと思っていた。 予選 コースイン
※前から3台目が著者のドライヴするマシン。すぐ後ろには2.7LのポルシェカレラRSや、フェアレディ432Zなど すごいマシンがひしめいている。とりあえず前列にいたのでクリアラップをとる苦労はせずに済んだ。

コースインし1コーナーを過ぎるとオイル処理の後がインフィールドの第1ヘアピンまで続いている。ライン的に必ず踏まねばならず、ブレーキングを確認しながら走行した。そしてすぐにアタック開始。やはり路面温度が低く、タイヤのグリップ感が乏しい。筑波はミューが高いため、トレッド面がよれるような感触が伝わってくるのだが、それもなかった。全体的にロール量が多く、アンダーステアであった。しかし、このノーマルをベースにしたPクラスではこれ以上のパーツ換装は無理ということであったので、この状態でタイムを出すしかない。エンジンはストレスなく7000rpmまで回ってくれる。だが湿度が高いせいだろう、やや重い感じの吹け上がりであった。

何度かブレーキをやや突っ込んでみるが、やはり突っ込みすぎるとマシンが曲がってくれず、確実にブレーキングして回頭させ、立ち上がり重視でアクセルをとにかく早く開けるように心がけるしかなかった。従ってクリップ付近(アンダー対策として通常よりやや奥めにクリップをとり、早めに旋回に移ってやや時間をかけて向きを変え、クリップ手前からアクセルオン、という乗り方で走行した)でアクセルに足が移る位置を探りながら、そこから踏み込んでいくポイントを掴んでいく。そこに神経を集中させ、タイムに結びつけようと考えて走っていた。筑波でどのぐらいのタイムが出るかは、未知数だったのだが、まずピット前を通過したときにサインボードから目に入ってきたのは1分20秒ほど。

「おせ〜な…」

遅いタイムだと感じながらも、少しずつブレーキングポイントをずらし、踏力も増していった。2周したところで、温度は手動スイッチの冷却ファンを回し放しでも水温90度、油温125度。結構高めであった。気温が涼しめだったので、プラグは9番をチョイスしたのだが、それが裏目に出たのだろうか?何周かして、タイム的には3周目で1分18秒3、という数字が飛び込んでくる。とりあえず18秒には入ったか、それにしても結構頑張ってコーナーリングしているのだが、数字を見ただけでは「こんなものか」という感じだった。何せこのマシンで筑波を走ること自体初めてだったのだから!

ブレーキングは非常に辛かった。1コーナーでは踏力を増していくと、タイヤがロックするような感じで「ダダダダ!」とジャダーのようなものが発生する。これではブレーキングできないので、踏力を弱めるしかなかった。またインフィールドのヘアピンで特にアンダーが厳しく、出口でなかなかアクセルが踏めず苦労した。

しかも3周目ぐらいから急に全体的に滑るようになってきた。後で聞いたら、どうやらオイルを吹いたクルマがいたらしい。しかも後半は雨が降り出し、どんどんグリップが失われていった。そして10周ぐらいしたのだろうか、チェッカーとなった。

結局3周目に出したタイムがそのまま予選結果となった。クラス5番手からのスタートとなった。予選終了後ブレーキをチェックしてみると、ブロー寸前。パッドが溶けかけるような感じでローター温度もかなり高くなっており、完全にブレーキのキャパオーバーだな、という結論に達した。さすがにブレーキを使いすぎてしまった。これを思えば、現代の車のブレーキは何と効くことか!技術の進歩を感じざるを得ない!

うんちく♪
当時のセリカのブレーキは、前輪はディスク、後輪はドラムであるが、ディスクと言ってもベンチレーテッドではなく、ローターはペラッと1枚のソリッドディスク。しかも容量は13インチのタイヤ程度であr。これに185/60R14のネオバを装着。完全にタイヤの能力が勝っている状態だ。

決勝 14:35〜15:35 60分耐久

1.スタート〜おなかん氏 第1ドライバー
ブレーキの調整を行い、気温も上がってきたためプラグを10番に変更して決勝に臨む。60分耐久は今回、3人のドライバーで組んで走行するのだが、まずスタートを担当する第1ドライバーはトウカイの若旦那、おなかん氏。そしてセリカオーナーズクラブ、リーディングエッヂのレイが第2ドライバーを担当。フィニッシュドライバーとなる第3ドライバー(補欠とも言う(爆))が私であった。3人のドライバーを20分ずつ担当し、20分経過時点でピットインの指示を出し交代していく方法であった。 スタート前 おなかん氏と撮影
※スタート前、ホームストレート上にて、ドライバー勢ぞろい。ファーストドライバーのおなかん氏は無論乗り込んでいるが・・・それにしても他チームと比べると若造だ(笑)

しかも今回、あるチームと賭けをしていた(笑)。チームプロジェクト・トウカイとそのチームはそれぞれ、Fレースと耐久レースの両方に参戦している。勝ったほうが、負けた方に奢ってもらえる、という企画(?)だったのだ。そんな賭けをしてしまって…どうなることやらと思っていた。(笑)

それにしても、クラシックカーのスタートらしく、スタート方法は変則ル・マン式。これは、かつてル・マン24時間レースで、ホームストレート上にピットウォール脇に1列に並んだマシンに、コースの反対側からドライバーが走ってきて乗り込み、エンジンをかけてスタートする方式から始まる「伝統的」スタイルに一部現代風に修正を加えたものだ。

ドライバーはマシンに乗り込んでいて、他の誰か(誰でもよい)がスタート合図と同時にコースの反対側から走ってきて、マシンのフロントスクリーンにタッチ。タッチしたらエンジンをかけてスタートという方式である。フォーメーションラップなどは無いのである。鈴鹿ではよく見るとそのためにホームストレート上に走者が立つ位置をマーキングした丸印まである。今回、第3ドライバーということで、休憩の取れる私が走者になった。

何故かスタート時、非常にリラックスしていた。(笑)まあ自信もあったし、服装に制限はないので半そで短パンの軽装で、走りやすさを追求(笑)。キャンギャルが3分前ボード表示、そして1分前表示。通常のレーススタートでは、1分前ボード表示でエンジンをスタートするため、1分前ボードが出ているのに、何でエンジンかけないんだろ??などと自分が走者であるにも関わらず非常にアホなことを考え(約1秒)、ああそうかスタートは自分が走ってタッチだった、(その約1秒後)と思い直すのだった(←言わなきゃ分からんものを… 笑) スタートの風景 ※左隅で半分消えかけているのが著者。隣のチームのZの走者はタッチを終えたところ。さらにその前のジャガーMKUの素人走者は今まさにタッチし終えたところだ。そう時既に著者はタッチを終え、ピットウォールを華麗にジャンプ中だ。絶妙なスタートが切れたのだが・・・

そんなこんなで、競技長が国旗を振り下ろした瞬間に一斉に走者スタート。私は非常に素早かったらしい。そのときシートに座っていたおなかん氏によれば、私は「鬼の形相で走ってこちらに迫ってきた」とのこと。よほど気合が入っていたと映ったらしい。しかも、スタート前、コース上で一人だけ屈伸運動をしたり、アキレス腱を伸ばしたりと、入念に(?)準備運動までしていたとか。え?他に誰もやってなかったの?走る前の運動は常識だよ!?(笑)(PS:著者は元長距離・水泳選手)

そしてタッチと同時にスタートボタンを押しておなかん氏はマシンを発進させた。タッチ後、ふわりとピットウォールをジャンプして後ろを振り返ると、ホームストレート上は大混乱。接触などはなかったようだが、普段慣れないスタート方式のため、大変なことになっていた。見てる観客は面白かったに違いない!いいタイミングで発進できたおなかん氏であったが、前のグリッド(?)のマシンに行く手を阻まれ、進路を塞がれたために避けたら、思わずダートに出てしまっている風景が目に飛び込んできた。土煙をあげ、アウトぎりぎりで1コーナーに進入。いわゆる「大外刈り」になってしまった。終了後おなかん氏曰く、
「接触を避けるためにダートに落ちるしかなかったよ!もう〜怖いから次からスタートドライバーは任せるからね」(後述)
などと先手を打たれる始末。

予選の感触から、「ブレーキ温存は必須」ということでブレーキは詰めず、予選タイムから2秒落ちの1分20秒〜22秒の間のアベレージでチェッカーまで走りぬく、という作戦だった。しかも水温、油温共に厳しいので、7000rpmリミットのところを6000〜6500rpmシフトで行こう、ということだった。おなかん氏は比較的順調に周回を重ね、1分20秒程度のアベレージを維持。いいペースであった。レース経験は20戦以上あるおなかん氏はさすがに安定している。筑波の走行はこれが初めてなのだが、1分20秒台から崩れることはなく、そのペースを維持したまま、おなかん氏がピットインしてきた。さあ、ドライバーチェンジだ。

2.ドライバーチェンジ〜レイ 第2ドライバー

予定通りピットインしてきた。ドライバーチェンジには、今回自信があった。実はかなり練習したのだ!ふふふ、これだけは本当に自信があった。今年は6月にクラブマン耐久に参戦したこともあり、ドライバーチェンジの重要性は身にしみて理解していた。走行でラップタイムを1周で2秒縮めるのは非常に大変なことだが、ピット作業で2秒はうまくやれば詰めることができるからだ。鈴鹿クラブマンの時は、決勝前日、夜中までかかってドライバー交代の練習を何度も何度もしたものだった…(遠い目)そして最終的には降りたドライバーと、助手席側からピットクルーが入って2名のサポートで、約10秒で交代できるまでに至ったのだ。

今回もその練習を行って、10秒程度で交代できるまでになっていた。他のチームが15分ぐらいしたところでピットインし、交代している様子も見ていたが、案外のんびりしていて、30秒ぐらい時間をかけて交代しているようだった。

これならイケる!

このとき、私が停車位置誘導、レイがドアを開けて乗り込む、という体制。停車し、すぐにエンジン停止。停止後すぐにおなかん氏が降り、レイが乗り込む。私は助手席ドアを開け、中に乗り込んで左側のシートベルトを締める。すぐにカチャリとシートベルトははまり、ドアを締める。運転席側は少しだけ手間取った。だが、約15秒で交代作業終了、すぐに再コースインした。さあ、レイ後は頼んだぞ! 1回目ドライバーチェンジ
※黄色のスーツのおなかん氏から、青いスーツのレイに交代。著者は左側からサポートに回る。乗り込むとすぐにシートベルトの金具を差し込む。3人とも体格は大きく変わらなかったので、腰のベルト部の長さを固定できたことが非常に有利だった。 1回目ドライバーチェンジ

仕事を終えたおなかん氏にマシンフィーリングを聞くと、やはりブレーキは厳しいらしい。水温90度、油温115度程度、まずまずだ。シフトは6000rpmちょっとでやっていたとのことだった。

レイがまず刻んだタイムは、1分22秒。これもまあ、いいだろう、というタイムだ。何せ、筑波の走行自体、これが初めてなのだから。続いてすぐに1分20秒へ突入。すぐにペースを掴んだようで、ピット内は「いいねぇ〜」という雰囲気に。この時点でモニターを確認すると総合17番手であった。その後、レイのペースはどんどん上がっていった。1分19秒の前半が出始める。ブレーキ温存作戦でいくことになっていたため、ブレーキを酷使していると判断、ペースダウンの指示を出したが…うまく伝わらない。何周かしたところで、1分20秒付近になってもレイが帰ってこない。

コースアウトしたか?クラッシュか?それともトラブルでストップ…秒単位の短時間であらゆる事が脳裏をよぎる。一瞬、「もはやこれまでか…」と戦慄したその直後、ややプラプラになりながら最終コーナーを脱出してくる(何となくそう見えたのかもしれない)我らがセリカの姿が!

おお、大丈夫だったか!この周は1分44秒、約24秒のロスとなった。だがどうやらトラブルではないようであり一安心。すぐにアベレージは1分20秒台へ回復してピットを安心させた。後で聞いてみると、初めての筑波でどんどん攻め込んでいって、ブレーキングを少しずつ詰めていって、1コーナーで少し詰めすぎ、ハーフスピン状態となり内側に巻き込んでダートにはみ出してしまったとのこと。ご愛嬌というところか!?そうこうしているうちに、ピットイン指示が出る1周前に何故かピットインしてきた。交代予定時間5分前からスタンバイしていたので、交代は間に合った。

3.ドライバー交代〜フィニッシュ(自分、第3ドライバー 補欠とも言う?!)

「あれ?入ってきた!」ピットクルーの声に少し驚くが、すぐにドライバーチェンジの体制へ。自分はすぐに乗り込める位置へ。レイがマシンを停車させ、エンジン停止。それと同時にすぐにドアを開け、乗り込む。おなかん氏が左のドアを開ける。同じように交代だ。これも比較的スムーズにいった。ベルトがカチャっと止められると、肩紐を自分で引っ張って締め、ドアが閉められるとすぐにエンジンスタート、後方を確認の上再コースインした。さて、自分の出番だ。まずマシンの状態を把握し、チェッカーを何としても受けなければ…しっかりと走りきってくれた2人のドライバーや、ピットクルー、応援してくれる人達のためにも必ず完走しようと思いを新たにした。すぐに1コーナーのブレーキングでブレーキの感触を確認。やはり少し柔らく、奥にもっていかれる感じはあるが、踏力をかけることができ、ブレーキはまずいけそうだった。タイヤのグリップは、リア側がややタレている感じだった。しかしいい感じでリアがオーバー傾向になるため、かえって回頭性が良くなっていた(低い次元でバランスが取れてしまった(笑))。フロントのグリップは、路面温度が上がったためであろ う、予選のときよりもむしろ良かった。水温90度、油温115度。安定しているようだ。冷却ファンは回し放し。エンジンを労わり、水温から判断して6500rpmシフトでいくことにした。しかしシフトチェンジの度にクラッチが少し滑る感じがする。クラッチがヤバそうだな…と、半クラッチを極力減らすように操作していった。 2回目ドライバーチェンジ
※青いスーツのレイから、赤いスーツの著者に交代。後方をライバルチームがピットアウトしていく。1回目の交代より、このときの方が3〜4秒速かったように記憶している。肩ベルトは交代が終わってエンジンをスタートさせた後、ピットレーンで締め付けた。 2回目ドライバーチェンジ タイムは、マシンの状態を自分なりに把握し持ちそうなペースで運転してみて、ピット前を通過すると、1分19秒程度。ほほう、結構まだいけるな、タイヤはとりあえずグリップするから、ブレーキは詰めていないのにこのタイムとは…1分20秒のアベレージより速くラップできそうだ。まあ自分が最後のドライバーだし、残り時間は15分程度だ。このままいってしまおう…そう思いながら、予選と同じように、ブレーキを詰められない分、やや奥めにクリップをとって早めにアクセルオンという運転でいった。予選よりもタイヤが食うので、むしろ早めに全開にできているのが感じられる。これはシフトとブレーキさえ気をつければ持つな…頭をアベレージアップの方向に切り替えた。予選の時のようなブレーキのばたつきは、とりあえず無かった。

1コーナーは早めにブレーキング、3速、2速と落とす。ここはターンインしながらブレーキするコーナーだ。アクセルオンは早いが、パーシャルの長いコーナーだ。そこからインフィールドのS字は3速、そして6000rpmシフトなら4速に一瞬入る。そしてインフィールドのヘアピンは2速。アウト目一杯まで使って立ち上がるとすぐに左にラインをとり、右コーナーのダンロップ下へ。セリカはアクセルオフだけで、3速でクリップから全開でいける。ダンロップ下アウト側の縁石まではらむと、そのまま左へ切り返す。全開のまま緩い左コーナーだ。そのまま右側に膨らんでいき、4速。もう一度クロスするような感じで左により、一旦ステアリングをまっすぐにして奥のヘアピンブレーキング、3速、2速。ここは奥にクリップをとって、とにかく早くアクセルオンだ。何しろその後はバックストレッチだからだ。そして全開で立ち上がると3速、そして100M看板でようやく4速。最終コーナーのアプローチは、50M看板付近でコース中央付近からブレーキング、ターンイン(こぶしひとつ程度少しだけ旋回を始めながらブレーキングのため)頂点の縁石付近がクリップとなり、縁石を過ぎて出口が見え始め たところで全開にしていく。そして出口アウト側の縁石に乗りながらホームストレートに戻り、ピット前で4速、という感じだ。

通常6000〜6500rpmシフトにしていたが、後ろからマシンが来た時や、バックストレートへの立ち上がりのみ7000rpmまで使い、運転していった。何周目だったか忘れたが、ピットサインは1分18秒1の表示が。ほほう、予選より速くなったか…ピットではそのペースで持つのか、心配してるだろうな…だがこのペースを維持する!そう思っていた。

だが、程なく、またしても雨が降り始めた。徐々に路面が濡れていく。降りはそう激しくない。雨に気づいてから3周目ぐらいから、1分21秒、1分22秒とアベレージが落ちてくる。どんどんフロントタイヤが食わなくなり、進入でアンダーがきつくなってくる。特にダンロップ下や最終コーナーでアクセルオンできない。そうしているうちに、1台がバックミラーに写り始めた。「青と白のストライプのカラーリングのマシン」だった。カーナンバーや車種まではよくわからない。そのマシンが、仕切りにプレッシャーをかけてきた。しかし青旗は振られていない。青旗が振られていない…とすると、これは同一周回の同クラスのマシンだな…ならば抑えねば!そう思いややラインをずらしながら後方をけん制した。抜きにかかろうとするが、なかなか相手も抜けないようだった。そしてコースは雨のためにウェットになり始める。こちらもかなりアンダーが強くなり、まともにコーナーリングできないが、相手もどうやらそうらしい。1コーナーから1ヘアピンまでは互角。第1ヘアピン立ち上がりでやや並びかけられるが、ダンロップ下過ぎからはこちらが有利なようだ。そして奥のヘアピンのブレー キングはこちら有利、立ち上がりも有利で、少し離れるようだった。だが、ストレートエンドでジリジリと追いつかれる。どうやらトルクではこちらが勝っているが、上の伸びではあちらが有利なようだ。直線が長いと追いつかれる。ブレーキング時には並びかけられ、こちらも1車身分開けてコーナーアプローチ。進入スピードはブレーキを終えてアクセルに移った段階では互角か、こちらが僅かに優速なようだ。並んだまま最終コーナーを抜け、出口付近でこちらが頭を抑えて1コーナーは先に侵入、という状態が3ラップぐらい続いた。それにしても、お互い非常にクリーンなバトルで、向こうも自分のラインを塞ぐようなことはしない。こちらも必ずラインは開けておく。それを見ているピットのチームの仲間は、非常に冷や冷やしていたと言う。(当たり前だけど)そしてファイナルラップ、最終コーナーで又してもインをつかれ、並んで進入。だが旋回スピードはほぼ互角で、アウト側のラインをキープしたままそのままチェッカーを受けた。頭ひとつの差で何とか抑え、そのままチェッカー。だがバトルに夢中で、コントロールライン通過時にイン側にいるマシンの動きを首を横に向けて見ていたためにチェッカーフラッグが見えず、前の車がスローダウンしているのに気づいたり、ポストから手を振っていたりしているのを見て「あ、チェッカーだ」などと気づいた(笑)。 ゴール ※チェッカー後、ピットレーンに戻ってきた著者。残り10分ぐらいから降り出した雨により、コースはウェットとなっているのが分かる。 心配していたマシントラブルはなく、無事チェッカーを受けることができた。結果はクラス5位。今回は3位までが賞典対象であったため何ももらえなかったが(笑)、シェイクダウンからいきなりレース、という厳しい条件の中では、とりあえず上出来でしょう、ということになった。

しかしブレーキを詰めず、しかも6000〜6500rpmシフトで1分18秒1が出ているから、7000まで回してブレーキを詰めただけで、路面さえベストな状態なら17秒台前半は今のままでいけそうだ。そしてセッティングやを煮詰めていけばおそらく15秒台に入れることができるのではないか?という今後に期待を残し、ひとつのデータとして結果を残すことができた。プライベートの急造チームで、且つ熟成の進んでいない状態でこの結果は、まず良しとしようということになった。 トウカイ社長と山本和正
※終了直後、マシンを降りてトウカイ社長と言葉を交わす著者。

例の賭けだが、Sクラス(改造範囲の広いクラス)のブルーバードSSSには負け、そして同じPクラスのスカイライン2000GTには勝った、ということでプラスマイナスゼロでドロー、ということになったらしい。(笑)まあ面目は保ったというところか!(笑)

それにしても耐久は面白い。今年は私にとって、耐久レースの年になっている(笑)。また機会があれば是非挑戦したい。

応援していただいた皆様、レースを支えて頂いた関係各位様、ありがとうございました。この場を借りて最後にご挨拶申し上げます。 ツクバサーキットGAL
※はい、お約束のギャル(笑)完走した我がチームの健闘を讃え笑顔で声援を送る、ツクバサマーフェスティバルガールのおふたり^^

<最終結果>
天候:雨 コース:ウェット
(ほぼドライであったが、競技長によりウェットレース宣言有の為)
所要時間:1時間00分28秒623
周回数: 43周
平均時速:87.241km/h
ベストタイム:1分18秒203(31/43)
順位 :クラス5位 総合13位(出走22台、完走18台)

<チーム体制>
参加チーム:プロジェクト・トウカイ
協賛・協力
リコー(株)
共立モータース商会
ERG(ユーロリサーチ)

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©KAZUMASA YAMAMOTO