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筑波サマーフェスティバル ご指名〜シェイクダウン

Vol.1 -ご指名〜シェイクダウン-

そのオファーは、突然やってきた。春日井市にあるプロジェクト・トウカイの社長さんから、「ファンキーなマシンでレースしてみない?」などと、かなり意味深且つ怪しげな話が舞い込んできたのは、7月下旬のことだった。

よく話を聞いてみるとそれは、筑波サーキットで8月18日に開催されるヒストリックカーの耐久レースのドライバーが1名不足してしまったとのこと。予定していたドライバーが都合で参戦を断念したためシートが空いてしまい、その代役として、このようなオファーがあったのである。私も今年は耐久に燃えている(?)ので、引き受けることにした。 しかしもう当日まであまり時間がない。1テスト1レース、という厳しい条件で戦わねばならないこととなった。

このレースは1975年以前に製造されたマシンによる1時間耐久レースで、チューニングレベルによってSクラス、Fクラス、Pクラスに分かれている。我らがマシンは、セリカGTV。いわゆる「ダルマセリカ」であり、2TGエンジンを搭載している。しかしライバルは2000t以下クラスとなるため、ハコスカ、ロータリークーペ、ロータスヨーロッパなどの名立たる名車が名を連ねているのだ。

詳しく話を聞いたところ、プロジェクト・トウカイの若旦那・おなかんと、セリカオーナーズクラブ、リーディングエッヂリーダー・玲、そして私の3名でドライバーを担当することになるとのこと。となると、筑波サーキットでのレース経験、いや走行経験そのものがあるのは私だけ。指名された理由はそんなこともあったようだ。

「予選のドライバーは、もう君に決まっているから。」
「はぁ!?」

トウカイの社長はニヤニヤしながらそんなことも、のたもうていた(笑)まあ、別にそれは受けてたちますが!

何はともあれ、マシンは完成したばかり。エンジンもまずナラシをしなければならなかったため、去る8/2(金)に、ストレート区間が長くナラシにはうってつけのコース、富士スピードウェイでシェイクダウンをすることになった。

シェイクダウンのテーマは、まずエンジンのナラシを終え、キャブのジェットとプラグ、点火時期等のエンジン系統のテストとチェック、足回りやシャシー側のチェック、ミッション等の駆動系のチェックと、こなさねばならないメニューが山ほどあった。

さらにその後、ドライバーがマシンのフィーリングを掴むためにも、当日のシミュレーションとして実際の走行時間をドライバー各々が走行する必要があった。ドライバーチェンジの練習も行い、燃費計算も確認する。とにかく、1日で全てをこなす勢いでやらねばならなかった。

まずイニシャルの状態で5000回転でエンジンの慣らしを行う。慣らしは私が担当することになった。コースインするとすぐにハザードを点灯し、ゆっくりとスロットルを開けていく。結構燃料は濃いようだ。カブり気味の状況で、特に2000回転以下では大きく症状がでる。しかしここは慣らし運転。濃いめならエンジンを壊すこともないし、「特別おかしくない限りピットインの指示があるまで走り続けろ」という指令が出ていたので、気温32度、湿度57%の富士を、窓全閉で走行開始した。

まず最初の2周は、かなり注意深くスロットルもゆっくり負荷をかけすぎないように開けていき、メインストレート以外での全開は避けた。濃いながらもエンジンは安定している。水温、油温、油圧、燃圧、全て異常なし。3周目からは5000リミットのまま全開での走行を開始。100Rは4速全開で走行した。この時点で2分22秒程度のタイムであった。約10周ほどしたところで、西の空がにわかに暗くなり、稲妻が迸り始めた。するといきなりの土砂降りに。ワイパーを動かして走行していたが、富士ではスピードが高いため、当時のボディ形状から無理もないのであろうが、風圧でガラス面からワイパーが浮いてしまい、思うようにフロントスクリーンの水が拭えないのだ!これにはビックリ。しかし程なくあまりの激しい雨に赤旗が出て走行中断。

コントロールタワーの避雷針にも落雷し、至る所落雷だらけ!場内は川のように水が溢れ、とても走行はおろか、整備もできる状態ではなかった。たまらずサービスカーの中へ逃げ込んだ。

それからしばらく雨は降り続き、約1時間中断されてしまった。コースはクリアになったものの、落雷のためにシグナル、電光掲示板などが全く使えず、全てフラッグにより指示ということになった。

そこからジェットの調整を行い、走行再開。ドライバーは玲に交代、雨は降ったり止んだりでコースはウェットであった。先ほどのカブりは解消できた。フィーリングはマシンは素直だがややアンダー傾向が強い、とのことだった。そしてその後、富士での走行経験は多いおなかん氏に交代。5500回転、6500回転、7000回転と、徐々に回転数を上げ慣らしを終えた。

しかし悪天候のため、スポーツ走行時間は早く切り上げられることになり、5時を以って終了してしまった。午後1時〜午後5時半までの4輪スポーツ走行の時間、これだけあればかなり走れると思って準備していたのに、天候の急変によって実質3時間弱の走行になってしまった(途中、その他にも何度か赤旗中断があったため)

マシンの課題も見えてきた。さあ、後はもう本番の8月18日の予選だ!
(おぃイケるのかよ!? …まあ何とかなるでしょう)
事後レポートへ続く…お楽しみに!

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©KAZUMASA YAMAMOTO