・・・キミは、”インロック” を知っているか?
そう、JAFの救援の内容で最も多いと言われるインロック(キー閉じ込み)。
これは突如として起こる、
ドライバーが原因で起こるトラブルだ。
あれは、雨の降る7月の某日であった。
そのとき私は、コントロールタワーで一人でコース管制をしていた。
あいにく他は休日をとっており、タワーは一人だったのだ。
20歳そこそこの若者が2人、揃ってニューインプレッサでYZにやってきた。
二人とも初心者で、走行前ブリーフィングを受けた。そして、ごく普通に走り出した。
走りは初心者らしく、無難な走り、ぶつけないように抑えて走っているようだった。
しばらく走行して、一瞬目を離したスキに、フッとコースを見ると、
第1ヘアピンで、スピンしてイン側に巻き込んでコースアウト、
マシンは進行方向と逆を向いて止まっており、
「コンニチハ」状態であった。
それはいいのだが、そのドライバーは降りてしまっているではないか!
他にも少ないながらも何台か走っていたので、非常に危険だ。
そして、事もあろうにもう1台のインプレッサに乗っていた友人までもが、
コース脇に車両を停め、
そのコースアウトした車両のところにマシンを降りて歩いていくではないか!
非常に危ないので、赤旗を出しながらも、
放送で「車から降りないで下さい」と放送するが、
いっこうに車に戻ろうとしない。
仕方がないので、ジープで現場に向かった。
すると、
非常に奇妙な光景を目の当たりにしたのだった。
二人ともマシンに戻ろうとせず、
何やらゴソゴソとやっている。
どうしたのか聞いてみると、
「・・・あ、あの・・・インロックしちゃったんです」
???
最初、言っている意味がよくわからなかった。
「は?」
「車から降りるときに、インロックしちゃったんです」
「・・・・・・・・。」
要はスピンオフして、下回りが気になったのであわ食って降りたはいいが、降りる瞬間に思わず開けたまま降りてはいけないと思って反射的にロックしてしまったのだろう。
見るところ、雨が降っているのでワイパーはうぃんうぃん動いているし、
ライトも点灯してるし、もちろんエンジンも掛かったまま。
(≧m≦)プッ おっとっと。
しかも新型インプレッサは牽引フックがノーマルでついていないのである!
だから牽引もそのままではできない。もう一人の友人が自分の車の中から持ってきたねじ込み式の牽引フックを持ってきて、フロントバンパーの一部に蓋がついていて、それをとって、その穴にフックをねじ込み、そこへマシンをひっかけ、まず舗装の上にインロックインプレッサを引き出した。
そして、そのままでは無論牽引していけない。
一旦ジープでタワーに戻り、フォークリフトで出直し、下からリフトの爪で揚げてピットに運んだのだ。
・・・それにしてもコース上でのインロックとは、前代未聞の話である・・・。
『慌て者]』というべきか、『若い』というべきか・・・。
いずれにしても、この裏YZに取り上げられる資格は十分にある。
その後、二人はもう1台のインプレッサで一旦自宅に戻り、スペアキーをとって、また戻ってくる、ということになった。2台とも名古屋ナンバーがついていたので、それなりに時間もかかるだろうと思っていた。
しかし、かなり高速も飛ばしてきたのだろう、2時間足らずで戻ってきて、車を引き取っていったのだ。
・・・何とも珍しい話だ・・・。
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