・・君は、ノーブレーキヘアピンを知っているか?
…スパゲティ山本のYZサーキット攻略を見た者は知っているだろうが、
YZサーキットには、ノーブレーキヘアピンというヘアピンコーナーが存在する。
その名の由来を含め、この魔のコーナーに関するエピソードを披露しよう。
エピソード1
あれは随分前のことだった。まだロングコースができる前の時代のことだ。丁度そのロングコースを工事中で、土地の造成を行っているところだったと思う。
走行は至って普通だった。
数台が走行するフリー走行の時間だったが、その中にそのワインレッドの32スカイラインタイプMもエントリーしていた。
初心者のようで、走行前ブリーフィングを受けてコースインしていった。
そして程なく何分が経過し、何周かしたところだった。私はそのときタワーで一部始終を見ていた。
第1ヘアピンをややリアをスライドさせながら全開で立ち上がり、
そして第2ヘアピンへ進入、
ブレーキング…あれ、おいブレーキしろよ!ブレ…
(ババ〜〜〜〜〜〜ン!!!!)
一瞬の出来事だった。
そのスカイラインは、全くブレーキせずに第2ヘアピンにアプローチし・・・
いや、ブレーキどころか物凄い加速だった。
タービンもフルブースト状態のままガードレールに激しく激突したのだ!
ブレーキは全く踏んでいなかったため・・・
恐らく外からみて70〜80km/hでまともにぶつかっていったと思う。
しかも、
縁石を踏んで車がジャンプしたため、
一瞬宙に浮きながらアウト側に吹っ飛ぶようにしてコースアウト、
ガードレール激突・・・。
激突した車は大破し、
エンジン部などは原型を留めておらず、
車もガードレールに乗り上げるようにして引っ掛かって止まっていた。
現場に急行し車両回収をしようとした。
まずドライバーに怪我はなかったようだ。
若いドライバーはすぐに車から降り、擦り傷ひとつなかったのは幸いだったが。
しかし、
ガードレールに大破した車が食い込み 牽引しても全く動かないのだ!
激しく壊れたボディがガードレールの間に挟み込まれ、
完全に食い込んでいて、カッターで切らないと切り離せないような状態だった。
いくら頑張っても一向に回収できない。
赤旗中断はゆうに15分を超えた。
現在のようなフォークリフトがなかったため、当時の車両回収は困難を極めていたのである。
そこで、丁度コースの工事中で使用していた重機(パワーショベル)のコンマ7を・・・
2コーナーアウト側のガードレールの外まで移動させて・・・
そのコンマ7で、
何とそのスカイラインをガードレールから強引に切り離したのだ!
…今思えばそれしか方法がなかったのだが、非常に大胆な方法だったと思う。
何と言ってもユンボで、車を回収された人はそのスカイライン以外に未だにいない。
(あたりまえだ!)
それにしても、何故ブレーキしないのか…初心者の恐ろしさを痛感したものだが・・・
しかしあんなタイトコーナーでブレーキしないとは…
どういう感覚の持ち主なのだろうか…
いずれにせよ、この裏YZに取り上げられる資格は十分にある。
エピソード2へ続く・・・。ノーブレーキヘアピンの恐ろしさは、これだけに留まらない・・・。
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